第四話・・・突きは首から上、蹴りは膝から下

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突きは首から上
 突きは首から上、蹴りは膝から下とは古くから言い伝えられていたようだ。突きが首から上は常識的にも当たり前のことで、上半身で防御力が最も弱い部分は、目と顎だろう。乱戦になれば鼻もこめかみの重要な目標になろうが。いずれにしても首から上に違いない。当然なことである。
 鳩尾(水月)急所には違いないが余裕が無ければ、そのような部位を攻撃するはずがないと言うか、そこを狙うことはない。正拳で突く場合、胸部、腹部に友好な場所はない。有効な打撃は正拳ではなく、ボクシングで言うアッパーである。だから突きは首から上と言うことでしょう。

蹴りは膝から下
 競技会で頭部を蹴る上段蹴りが流行しているが、格闘技術としては、頭部を蹴ることは、自分が危険とされて来ました。これは日本人の感覚として、「人様の頭部を足蹴にする不道徳は排除されるし、足を頭部攻撃に使うには、日常生活と異なる相当の訓練が必要と言うこともあったでしょう。
 睾丸を狙う技は多いので、これは膝より下ではない。したがってこの言い伝えは、向う脛を蹴って注意を引く、と言うこともあり得るが、足払いを重視している言葉でもあろうと考えています。
 足払いが重要すぇある理由は、空手の目的は取手にあり、取りでのためには、足払いは必須に近い技だからです。

言い伝えの背景
 この言い伝えは、何時頃生まれたのか、誰が作ったのかは明らかではないのですが、私は糸洲先生ではないかと、考えています。これは金城先生に伺ったことはないのですが、糸洲先生はこれを残す必要を感じたはずだと思うのです。
 それは空手の形が中段突きになっているからです。特に平安の方は、完全に中段突きで編成されています。形は中段突きですが、格闘技術としては、実際は上段突きですよ。と言うことを教えるためだったろうと思います。
 中段逆突きと言うのは武術としては成り立たないのです。あれはあくまでも、西洋式学校体操ととして作られたものなのです。
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